留学を検討している人の中には、留学に行くのに事前に必要な語学力がどれくらいか気にしている人も多いのではないでしょうか。
また、「留学に行っても意味がなかった」「帰国後も英語が話せない」という失敗談を見ると、「留学に行って本当に語学力は伸びるのかな?」と不安に感じてしまいますよね。
この記事では、留学に必要な英語力と、留学中に英語力は伸びるのか、および留学中に英語力を伸ばすポイントについて、留学経験者である私の視点でお伝えします。
ご自身の英語力が不安で留学をためらっている方、留学中で英語力が伸びなくて悩んでいる方は参考にしてみてくださいね。
留学はどれくらいの英語力が必要?
実際に留学に行くときに必要な英語力は、その目的によって異なります。
ここでは、留学のタイプ別に求められる英語力をご紹介します。
自分の英語力がどれくらいで、希望の留学をするにはどれくらいの英語力が必要なのか確認してみましょう。
今の自分の英語力はどれくらい?
現時点での英語力がわかれば、留学後にどのくらい成長したのかを確認できます。
今回は、CEFRと呼ばれる語学の国際標準規格に沿って表を作りました。
CEFRは、ヨーロッパを中心に世界中で用いられている規格で、NHKの英語講座もこのCEFRに対応したレベル分けを行っています。
語学のコミュニケーション能力をレベル分けし、それぞれ「何ができるか」の目安を示しています。
今回はTOEICや英検のスコアにも換算したので、どちらかの結果がある人はそれを参考に判断してみましょう。
レベル | 基準 | 上段:TOEIC 下段:英検 |
A1 |
| 120点以上 3・4級 |
A2 |
| 225点以上 準2級 |
B1 |
| 550点以上 2級 |
B2 |
| 785点以上 準1級 |
C1 |
| 945点以上 1級 |
C2 |
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留学は英語力ゼロでも可能?
上の表で「A1以下だけど大丈夫?」という英語初心者の方もいらっしゃるかと思います。
結論から言うと、英語力がほぼゼロという方でも留学自体は可能ですが、100%苦労します。
英語圏に行くと、当然ですが街全体が英語環境で、学校の授業も「英語で英語を学ぶ」ので、
- 相手や周りの言っていること、書いてあることがわからない
- 自分の言いたいことや質問したいことを英語で表現できない
という状態であれば、生活をするだけでも苦労するのは目に見えています。
どんな留学をするにしろ、生活に苦労しないレベル、最低でも中学卒業レベル、上記の表の「A1」レベルの英語力は持っておくことが理想です。
留学のタイプ別|求められる英語力
留学にはさまざまな種類がありますが、今回は、
- 語学留学
- ワーキングホリデー
- 高校留学
- 大学・大学院留学
に求められる英語力がどれくらいなのかご紹介します。
この表の「必要な英語レベル」は、先ほどご紹介したCEFRに基づいています。
留学のタイプ | 必要な英語レベル |
語学留学 | 特に基準なし |
ワーキングホリデー | 特に基準なし |
高校留学 | A1〜B1 |
大学・大学院留学 | B1〜B2 |
語学留学・ワーキングホリデー
語学留学やワーキングホリデーは、求められる英語力の基準が特にないので、どんなレベルの方でも気軽に行きやすい選択肢です。
ただ、前述のように英語力が全くないのはかなり苦労するので、現地での暮らしや学校生活にできるだけ早く慣れるためにも中学卒業レベルの英語力があるとベストです。
高校留学
高校留学は、行きたい国や学校によって設けている基準が異なり、レベルもさまざまですが、最低でも中学卒業レベルの英語力が必須です。
しかし、留学生専用の英語のクラスが用意されていたり、一定期間高校が提携する語学学校に通うことができたりと、英語を話すのが苦手な留学生のために手厚くサポートしてくれる学校が多いのが高校留学の特徴です。
大学・大学院留学
大学・大学院留学は、語学習得が目的ではなく、海外で専門分野を学ぶことが目的であるため、ある程度の英語力があることが前提で、他の留学に比べて求められる英語力も高いです。
事前にTOEFLやIELTSなどの英語力の証明を必須とする学校がほとんどで、学校や学部によってそのレベルが異なります。
実際はエッセイや面接なども含めて総合的に判断されるので、TOEFLやIELTSのスコアが思わしくなくても留学できる場合もありますが、授業を理解できるレベルの英語力があることはマストです。
留学で英語力は伸びるのか?
絶対とは言えませんが、留学すると英語力は伸びます。
理由は、圧倒的な英語環境で、自分から英語を話す機会が必然的に多くなるからです。
留学先では、学校で英語を学ぶだけでなく、現地生活やさまざまな人とのコミュニケーションを通して学んだ英語を実践したり、現地の生きた英語に触れる場面が多くなります。
相手に伝わるように考え、自発的に英語を話す経験を何回も繰り返すことで、経験値が上がり、学んだ英語がどんどん定着していきます。
留学に行って英語力が伸びなかった人もいるじゃないかと思うかもれませんが、そういう方は伸びなかった原因が必ずあります。
その原因については後ほど触れるので、参考にしてみてくださいね。
留学で英語力が伸びない人の原因
留学に行っても英語力が伸びない人には共通点があり、それが原因で、
- モチベーションが下がる
- 自発的に英語を話す機会が減る
という状態に陥ります。
具体的にどんな原因があるのか見てみましょう。
これから留学する方は反面教師として参考程度に、留学中の方は自分が当てはまらないかチェックしてみてくださいね。
1. 留学の目的・英語を習得したい理由が曖昧
あなたは、なぜ留学に行きたいのか、またはなぜ留学に来たのか、はっきり説明できますか?
また、どうして英語を話せるようになりたいのか、英語を使って何をしたいのか、説明できますか?
留学をしても英語力が伸びないまま帰国する人は、留学の目的や英語を学ぶ理由が曖昧になっている人が多いです。
ここがはっきりしていないと、留学先で方向性に迷ってしまったり、うまく行かない時に簡単にモチベーションが下がってしまいます。
2. 留学前の英語力が低すぎる
先ほど英語力ゼロで留学に行くと苦労するとお伝えしましたが、留学前の英語力が低すぎることが原因で留学先で思ったように英語力が伸ばせないという人も多いです。
どんな言語にしろ、周りとうまくコミュニケーションが取れない環境だと、物事が思うように進まなかったり、できない自分にイライラしてしまったりと、かなりのストレスがかかります。
留学前の英語力が低すぎると、基本的な会話ができるようになるまでにストレスが限界に達し、モチベーションも下がり、諦めてしまう人もいます。
3. 情報収集や英語学習など、留学前の準備をしっかりしない
念願の留学に来て、実際に現地で生活をしてみると、想像していたことと違っていたり、自分の英語力のなさにもどかしくなったりすることは、ほとんどの人が経験することです。
留学前の情報収集と英語学習が不足していると、その理想と現実のギャップが大き過ぎて「こんなはずじゃなかった」と失望してしまうので、モチベーションが下がってしまいます。
4.日本人に人気の都市や語学学校を選ぶ
留学に行く国や都市、語学学校などで迷った時、留学エージェントや留学支援サイトで評価の良いところを選んでしまう人がいます。
評価が高い=日本人に人気なので、そういう都市は日本人のコミュニティも多く、学校のクラスも日本人の割合が多くなりがちです。
そうなると、徹底的に日本人と関わらないという強い意志を持たない限り、どうしても日本語を聞く機会が増えてしまいます。
5. 現地で日本人の友達ばかり作る
4と似ていますが、現地で日本人の友達ばかり作ってしまうと、授業以外で英語を話す機会が減ってしまうため、英語力が伸びづらくなります。
また、日本人ばかりのグループで行動していると、自発性が失われ、積極的に自分から英語で話すことがいつまでたってもできません。
6. 授業中、失敗を恐れ発言しない
日本人は文化的にも、周囲を気にしたり、完璧を求めたり、失敗を恐れたりする意識が強く、語学習得においては、その日本人の特徴がネガティブに働いてしまいます。
語学学校に行くと、南米やヨーロッパからの生徒が積極的に発言することに驚かされます。
そんな中で失敗を恐れて考えてばかりいれば授業中に全く発言できず、学んだ英語をアウトプットする機会が減るため、英語力は伸びづらくなります。
7. 滞在先や職場が日本語環境
英語圏の主要都市であれば、日本人も多く日本食レストランも多いので、日本人の友達に紹介してもらったり、日本語の掲示板サイトにある物件や求人に応募すれば、簡単に滞在先や仕事先を見つけることができます。
しかしそうすると、家も勤務先も日本語環境で、気づいたら学校以外では英語を喋らない状況になり、英語力も伸びづらくなります。
8. シャイで内気な性格で、周りと会話しない
授業中だけでなく、休み時間に周りの生徒と話したり、滞在先でハウスメイトやシェアメイトと話したり、現地の人と接したりすることで英語を使う機会が増え、英語力も伸びやすくなります。
シャイで内気な性格の人は、周りと話すことをためらってしまう分、アウトプットするチャンスを逃しがちで、英語力も伸びづらいです。
留学で英語力を伸ばすためのポイント
留学で英語力が伸びない原因を見てきましたが、それらを解決するには
- モチベーションを維持させる対策
- 英語を話す機会を増やす環境づくり
が必要です。具体的なポイントに分けてお伝えします。
1. 留学の目的・英語を習得したい理由を明確にし、具体的な目標を立てる
留学の目的や「英語を使って何がしたいのか」という部分を明確にして、具体的な目標を立てることは、留学先でモチベーションを維持するために非常に大切です。
語学を習得するには、何度も繰り返すことや、失敗をしながら経験を積むことが必要です。
はっきりした留学の目的や英語を習得したい理由があれば、失敗した時やうまく行かない時も、自分がどうするべきか判断でき、乗り越えることができます。
また、具体的な目標があれば、段階的に小さい目標を立てて、それをひとつひとつ達成していけるので、自分の成長を実感でき、学習意欲を持続できます。
2. 英語力の高い人・モチベーションの高い人と友達になる
私はかなり怠け者なので、この方法で留学中のモチベーションをキープし、英語力も伸びました。
英語力の高い人と友達になると、先生に聞けないようなことも聞きやすかったり、効率のいい勉強法を教えてくれたり、いいなと思う部分を真似したりできるので、英語力がかなり上がります。
また、モチベーションの高い人と友達になると、自分のモチベーションが下がりそうな時も、その人を見ているだけで自分も頑張ろうと思わせてくれます。
4. 英語環境を自分で作る
完全な英語環境にすることで英語力は伸びやすくなりますが、留学先に行っただけではまだ不完全で、自分でその環境を作らなければいけません。
日本人と関わらないようにすることを薦める方もいますが、海外で出会う日本人の中には、英語力が高かったり、目的意識を持っていたり、他にない魅力を持った人もいるので、「日本人」と区切るのは個人的には意味がないかと思います。
それよりも、普段自分が使っているものや自分の行動に目を向けましょう。
私が実際にしていたことは、
- スマホやパソコンの設定を英語にする
- 検索するときは英語で検索する
- ニュースは現地のメディアでチェックする
- 移動中や家事をする時は洋楽や英語のPodcastを聞く
- 独り言を英語にする
などです。とにかく少しでも日本語を遮断する方法を見つけましょう。
5. 積極的に授業に参加し、とにかく発言する
授業では、間違いを気にせず、とにかく積極的に発言しましょう。
そうすることでアウトプットが増えて、英語力は飛躍的に伸びます。
と言われてもやっぱり周りが気になる、という方はこう考えてみましょう。
- 自分のことを知っている人は周りにいない
- みんな自分のことで精一杯で、誰が失敗しようが何をしようが気にしない
- お金をかけて学校に来ているんだから、元を取らないと勿体無い
- 時間は限られているから、今発言しないと勿体無い
どうでしょうか?
私はこれを意識することで、授業で周りを気にせずどんどん発言できるようになりました。
思っている以上に周りは自分のことを気にしていないので、自分をさらけ出しても全く問題ありません。
むしろその方が、先生も周りの生徒も受け入れてくれます。
6. 現地の人と積極的にコミュニケーションをとる
学校帰りにカフェやスーパーに行って店員さんに質問してみたり、現地のボランティアやイベントに参加するなど、現地の人と関われる場所はたくさんあります。
現地の人と積極的にコミュニケーションを取ることは、
- 現地の生きた英語を学べる
- 学校で学んだことをアウトプットできる
など英語力アップに効果的なメリットばかりです。
うまくいかなくてもそれが経験になりますし、次の日に学校で話すネタになります。
7. 英語以外に新しいことをする・学ぶ
英語力を伸ばすには、英語を学ぶだけでなく、「英語で何かを学ぶ」ことがおすすめです。
英語を使って何かを学んだり体験したりすることで、効率的にインプットとアウトプットをするので、英語力がアップしやすいです。
留学の目的に合わせて専門スキルを学んだり、新しくスポーツや趣味を始めてみましょう。
8. 留学前に英語を勉強しておく
現時点の英語力がどんなレベルであろうと、留学前の英語学習は非常に大切です。
その理由は、留学前の英語力が高ければ高いほど、留学先で吸収できるスピードが早いからです。
留学で成果が出た人も出なかった人も、「留学前にもっと勉強しておけばよかった」という留学経験者は私も含め、かなり多いです。
次から具体的な英語の勉強方法をお伝えするので、1日30分でも時間を作って勉強しておきましょう。
留学前に勉強しておきたい内容
留学前に勉強をするにしても、「何をどこまで勉強しておけばいいの?」とわからなくなりますよね。
ここでは、留学前に勉強をしておきたい内容と、おすすめの英語学習法をご紹介します。
留学までにここだけ押さえておけば留学先の生活には困らないだろう、という項目をまとめたので参考にしてみてください。
基本的な文法と単語
文法は中学卒業レベルで全く問題ありません。
単語はできる限り多く覚えておきましょう。
語彙力があると、英語の理解も早く英語力も伸びやすいです。
私は語彙力が足りなくて留学中にかなり苦労したので、単語を一番重点的にしておくことをおすすめします。
リスニングと音読
英語の動画コンテンツや海外ドラマ、洋画、洋楽、Podcastを観たり聴いたりして、英語に耳を鳴らしておきましょう。
また、英語の文章を音読するのも効果的でおすすめです。
できれば文章と音声がセットになっているコンテンツがベストで、単語が文章の中でどのように発音されているのかを確認しながら音読するのがポイントです。
スピーキング
日本の学校の英語のテストでも、リスニングや文法、リーディング、ライティングはあるのに、スピーキングのテストってないですよね。
しかし、留学先では積極的に喋らなければ英語力は伸びないので、事前に英語を喋ることに慣れておくことが大切です。
スピーキングは、日本で住んでいると実践できる場面はほとんどないので、英会話教室やオンライン英会話などを使って、自分から喋る機会を作りましょう。
留学で英語力を伸ばすには留学前の準備と心構えが大切
留学に必要な英語力と、留学で英語力は伸びるのか、および留学中に英語力を伸ばすポイントをお伝えしました。
留学は中学卒業レベルの英語力があれば行けますし、留学先で英語力を伸ばすことも可能です。
留学を検討中の方は今回お伝えしたポイントを意識して、留学に行く目的を再確認したり、留学先の情報収集から始めてみてくださいね。